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マグネシウムを海水から取り出す海水淡水化装置

​  および汚水処理装置

世界の海水中には1800兆トン(石油換算10万年分)のマグネシウムが存在します。これをどうやって取り出すかは大きな問題でした。以前は電解法が提案されましたが、巨大なエネルギーを必要とするので、このようにして作られたマグネシウムを脱炭素社会に使うことができません。また、RO(逆浸透膜)膜などの海水淡水化装置は存在しますが、これは海水から飲み水を作るためのもので、塩やマグネシウムなどは不要なものとして捨てられるように設計されています。

​  矢部東工大名誉教授は、マグネシウムを採取することに特化した海水淡水化装置を世界で初めて提案しました。

  この特徴と同時に、水分中に含まれるあらゆる物質を除去できる可能性があります。実際、汚水処理場の水を浄化した実績があります。また、トリチウム水を低減できる方法も提案し、日本原子力学会にも掲載されました。今後、半導体処理施設から排出される有機フッ素化合物(PFOS,PFAS)、アジアの井戸水に含まれるヒ素や重金属、ゴルフ場近辺の井戸水に含まれる農薬などの除去の除去についても実験実証してゆく予定です。

  この装置がどのようなものかを紹介します。

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大気圧での蒸発

 沸騰と蒸発の違いを誤解している人が多いのですが、沸騰は沸騰温度(水の場合は、大気圧で100度C)に達したときに、水の内部から気泡が発生する現象です。一方、蒸発はコーヒーの湯気のように、沸点に達していなくても、表面から水分子が飛び出してくる現象です。

 汗をかいても、体温30度くらいでも汗は乾きます。すなわち汗が蒸発しているのです。

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  ただ汗が乾くには数十分以上かかります。この速度を上げるには、表面積を増やす必要があります。左図のように、水を微細な球形にすれば表面積は格段の増加します。水を微粒子にするには、超音波などの振動を与えたり、微細なノズルから水を吹き出す方法など多数ありますが、あとで述べる熱回収と組み合わせるためには、より簡単な方法が必要です。
  これには、矢部が1975年に提案した、魚の養殖のための微細気泡発生装置が最適です。これは高速で回転する水車に水を当てるだけのものです。
​  この方法により、大気圧で蒸発できる装置ができました。このメリットは大きく、装置がプラスティックでも作れ、軽量で安価な装置となりました。

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中国浙江省台州市汚水処理場での実験

​       2019年12月10日 

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1時間1リットル生成能力のポータブル汚水処理装置を日本から手荷物で運び、実験​​

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汚水(左)が浄水(右)に

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既存設備の応援(コバンザメ計画)

逆浸透膜などの既存の海水淡水化装置は、高濃度の塩分や不純物を含んだ海水を海洋に投棄しています。

​この問題を解決するために、矢部の淡水装置を使いましょう。これをコバンザメ計画と呼ぶことにします。逆浸透膜法という巨大なサメに、ただくっついて行くだけで自分はなにもしなくて良いからです。逆浸透膜法では、3の海水入力で、真水を1製造し、2の高濃度海水を放出します。これが問題の元凶なので、そこに矢部の装置を入れると、この2の高濃度海水から2の真水を生成でき、汚染問題を解決します。この計画により、既存設備の汚染問題が解決し、真水生成量を3倍にするのです。

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2025年には30億人が水不足に

​日経サイエンス2001年5月号

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RO(逆浸透膜)法だと、新たな電気が必要

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